注目される素材、ジルコニアセラミックとは?
セラミックは様々な分野で使われておりますが、その中でもジルコニアセラミックとは何でしょうか。
その特徴とはまたどのように使われるものでしょうか。
ここではそれを説明いたします。
ジルコニアとは

ジルコニアは、ジルコニウムという物質の酸化物です。
屈折率がダイヤモンドに近くモース硬度も8.5とサファイヤなどに次ぐ硬さで、また耐熱性にも優れています。
更に硬さだけではなく靱性、つまり亀裂による強度低下に対する抵抗も強いので、多数回ぶつかり合うような機械的強度を要する分野にはぴったりの素材です。
微量な酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどを混ぜると、その部分だけが僅かに亀裂が出来たとしても周りのジルコニウムで止まります、このような素材を部分安定化ジルコニアなどといい、機械的強度を要する分野の素材として、将来のガスタービンエンジンの高圧タービンのブレードに用いると、ガスタービンが性能の限界を出せる1900℃付近でも、殆ど冷却なしでも作動するガスタービンエンジンが作れて、高効率の発電や高性能の旅客機用あるいは戦闘機用エンジンが作れるのではなどと期待されています。
ここで、酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの量をもう少し多くすると、安定化ジルコニアとなり、立方晶で安定します。
これは屈折率が高いので、模造ダイヤモンドとしても使われます。
火傷の恐れのあるような環境でも使う事が可能
一方で、熱伝導率は金属よりも小さいので、いきなり熱が伝わる事で火傷の恐れのあるような環境でも使う事が可能です。
熱膨張率は普通の金属よりはずっと小さいのですが、チタンよりは大きめです。
それでチタンと他の金属の間の素材に使うと、熱膨張による歪みを少しでも抑えることができます。
一方で、低温では曲げ強さがやや劣化することが知られています。
単斜晶と呼ばれる強度の低い結晶が増えるためです。
しかし、もともと強い物質なのでその影響は小さいと言えます。
もし影響を減らしたかったら、アルミナなど別のセラミックスを分散させると、低温での強度劣化を抑えることができます。
この低温での強度劣化は、水分が多い事で更に強まります。
Zr-O-Zrというジルコニウムと酸素の結合が、水分によって切られる、加水分解という反応が起こるためです。
なお、ここで言う低温とは、機械工学でよく使われる温度としては低目というだけで、それでも200℃には達します。
人間が日常生活で扱う環境よりずっと高い温度です。
さて、いくら強い物質だとしても、それだけで製品を作るのは難しいので他の物質や素材と接着する必要があります。
それで各種の接着剤を調べると、マルチプライマーリキッドという接着剤が有効であるというデータが出ております。
チタン、ニッケル-クロム、コバルト-クロム、金、金-銀-白金合金などともマルチプライマーリキッドによりよく接着されるため、ポリマー程度が耐えられる温度での接着を行うなら、これを使うのが良いでしょう。
非常に硬い物質であるのが逆に災いして、完全に焼結するとあまりにも固くなり過ぎて加工できなくなります。
それで、半分ほど焼結したディスク状の塊で入手し、必要な形は3DCADで扱える形で作成してから、その形に加工して、最後にもう1度焼結させて製品化する、という流れで使えるようになります。
アルカリに強い
この物質は酸やアルカリにも強いので、生体と共に使用しても安定する物質ではと期待すべきなのですが、部分安定化したものは微量に添加した酸化イットリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどが溶け出して、これが生体に影響するのではとの懸念は、製品開発に携わる人としてはもちろんすべき事です。
しかし、最新の調整された製品ではそれも起こらない事が分かっており、安心して使い、また利用者にも安心して使っていただくことができます。
一方で、この物質には固体電解質として使えるものもあります。
固体電解質というのは、全固体二次電池の素材として注目されています。
ただでさえ耐熱性の高い物質ですから、これが開発できると今のスマートフォンやタブレットやハイブリッド車やEV車などの充電後の使用時間や、航続距離を劇的に伸ばすことができます。
先にガスタービン発電の素材としても注目されていると書きましたが、出来た電気を貯める電池の側でも、ジルコニアは大活躍しているのです。
歯科治療では、何度も歯が噛み合う衝撃の掛かる環境でもひびが広がらず、余計な物質を出してアレルギーなどを起こさない理想のインプラント物質として注目されています。
口腔は意外に酸性も高く通常の金属などには厳しいことが多いのですが、酸やアルカリにも強い性質を生かして幅広く使われます。
様々な長所を持つジルコニア

また人工股関節などでも同様の環境なので期待されます。
更に、高い屈折率や強度を活かし、光通信のコネクタにも使う事が出来ます。
結晶の粒界で屈折が起こるので、結晶サイズを様々に変えることで、目的の素材を得ることができます。
様々な長所を持つジルコニアは、21世紀の我々の生活に無くてはならないものとして、インプラントから電気、電子、機械分野まで、幅広い業界で使われているのです。





